レスポールギター

JOE WALSH というギタリストが好きだ。JOEが加入するや否や EAGLESはHOTEL CALIFORNIA という金字塔を打ちたてた。タイトル曲での DON FELDER との掛け合いはロックにおけるギターソロの中でも最も有名なものかもしれない。EAGLES がカントリー色を薄めよりソフィスティケートされかつソリッドな音を追求していく中で、ギタリストの加入・交替が果たした役割は非常に大きかった。3RDアルバムの録音中に参加したというDON FELDERのハードなサウンドは次の ONE OF THESE NIGHTS (呪われた夜)でのソウル色を強めたなかにハードロックのイディオムを持ち込んだ音作りには必要不可欠だったし、HOTEL CALIFORNIA での JOEの参加はさらにファンキーなフィーリングとソリッドな音像を強化し、EAGLES サウンドを完成したと言ってもいいと思う。

HOTEL CALIFORNIA で JOE が(共作ではあるが)提供した楽曲は、LIFE IN THE FAST LANE と PRETTY MAIDS ALL IN A ROW の 2 曲で或る意味 JOE というミュージシャンの持つ二つの側面を代表するようなものと言えなくもない。前者はファンキーなリフのソリッドなナンバー、後者は本人がボーカルをとる叙情的なスローバラード。後者では ギタリスト JOE のもう一つの魅力であるスライドプレイをフィーチャーしたソロを聴くこともできるが、ギタリストとしての JOE の魅力はやはり前者で堪能することができるといえるだろう。歌にからむオブリガードやソロは 16 ビートの裏を効果的に使ったファンキーなフィーリングが素晴らしい。音数は必ずしも多くないが非常に多くを語るソロ。そして全体にからっと乾いた雰囲気がまさに JOE の世界である。

EAGLES 加入時には JOE は既にソロミュージシャンとしてかなりの成功を収めていた訳だが、アナログ盤時代の HOTEL CALIFORNIA のジャケットの見開きで、新加入でありながら堂々と真ん中に陣取った JOE の姿にはミュージシャンとしての自信と直ぐにバンドに溶け込んだのであろう破天荒かつ明るい性格を読み取れるような気もする。

ソロ活動以前には JOE は JAMES GANG というトリオでプレイしており、ライブを含むアルバム 4枚を残している。この頃の最も有名な楽曲と言えば、ソロ時代にセルフカバーもした WALK AWAY (THIRDS収録)を挙げる向きが多いかもしれないが、僕の好みから言うと 1970 年に発表されたセカンドアルバム RIDES AGAIN を代表作として挙げておきたい。後半(アナログ時代のB面)はアコスティックな楽曲で占められ JOE はキーボードも披露しそのリリカルな側面を楽しむことができるが、やはり前半(アナログ時代のA面)が素晴らしい。当時の彼等は BRITISH INVASION に晒されたアメリカのマーケットにおいてイギリスのバンドの前座でのツアーといったこともあったらしく、後に JIMMY PAGE のトレードマークとなる 1959年製のギブソンレスポールを譲ったといった交流もこの頃生まれたものらしい。実際 JOE のギタープレイにはイギリスのハードロックの影響が如実に見て取れると思う。JOE のインタビューを読むと JAMES GANG 時代はレスポールをプレイすることが多く、トリオという編成ではボトムへヴィーでラウドなレスポールの音が求められていたといったようなことを語っているが、RIDES AGAIN では基本的にフェンダー、恐らくストラトキャスターとテレキャスターが使用されていると思う。この乾いたサウンドがまた素晴らしい。

アルバムはのっけから文字通り FUNK#49というファンキーな楽曲で幕を開ける。この曲はいまだにアメリカのラジオで頻繁にかかるという話を聞いたが、シンプルながら飽きのこない作品。次の ASHTON PARK はインストの小品でジョークのような曲だが、70年という時代を考えるとテープエコーを巧みに使い2拍3連の2泊目にディレイタイムを合わせたアイデアが光る。そして WOMAN は JOE の真骨頂とも言えるソリッドなリフをフィーチャーしたハードなナンバー。お手本のような見事なソロを聴かせてくれる。蛇足ながら、チャーの WATER BUSINESS (ミネラルウォーターのCMで使用)を聴いた時に思い出したのがこの曲だった。続く BOMBER は組曲風のナンバーで ちょっと ZEP を想起させるようなブリティッシュの香り漂うリフがカッコいい前半からエコーをかませたスライドプレイが浮遊感を漂わせる中間部そしてまた16裏を効果的に使ったリフのエンディングと長尺ナンバーながら飽きさせない展開。もしまだなら是非聴いてみて欲しい。シンプルなジャケットも秀逸。

mojo

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60年代~80年代のロックを愛して止みません
賛否両論あって当然!
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